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(2025年10月29日付 Nov. 29th)

デイリーレポート

かつての天才少女は大きく成長して素晴らしい音とステージングを展開された満席の店内

かつての天才少女は大きく成長して素晴らしい音とステージングを展開された満席の店内

Kyoko

2025年11月21日 金曜日

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11/20(金)は【BODY&SOUL Special】《寺久保エレナ クァルテット》寺久保エレナ(as) from NY デビット・ブライアント(pf) 渡邊修二(b) 鈴木宏紀(ds) さん

▶2年ぶりのエレナさんの帰国日本ツアー《寺久保エレナ クァルテット》の初日でメンバーは 寺久保エレナ(as) デビット・ブライアント(pf) 渡邊修二(b) 鈴木宏紀(ds) さん。皆さんご自身が厳選されたメンバーで、ブライアントさん鈴木宏紀さんは当店でもお馴染みですが、渡邊修二さんは初登場だったかしら。皆さんの音色が素晴らしく楽器が良く歌い、エレナさんのリーダーシップは全体をよく見聴きして、聴き応えのあるステージを繰り広げられました。
▶店内は、皆さんの熱気で寒さも忘れるような満席になりました。今日の北海道から日本のツアーが始まります。ぜひ日本の宝のようなエレナさんの演奏を聴いていただきたいと思います。天才少女は向こうで大きく成長して世界的になりました。このツアーが終わってアメリカに帰ると、音大の教授職が待っていて授業が始まるようです。アメリカの発祥の音楽を日本の女性が教えるのは、凄いことです。そういえば過去、タイガー大越さんが、大昔私の家に奥様と一緒に泊まって米国に旅立ち、そのままバークリー音楽院の教授になっていました。エレナさんもそんなお一人ですね。頑張ってくださいね。
▶1st.set…
寺久保エレナ作ビバップの創始者でジャズの巨人アルト奏者チャーリー・パーカーに捧げて♪Bird Lives/W.ショーター♪Oriental Folk Song (東洋的フォークドングが/モチーフ)/♪りんご追分…フルート 小沢マリア米山/ミュージカル 「Music in the Air」 よりジェローム・カーンの軽快な曲♪The Song Is You /エレナ作作♪Rocky。
▶2nd.set…
C.ベイシー楽団のアレンジャー ニール・ヘフティのよくスウィングする♪Reputation/山下洋輔作山下さんらしいスリリングな曲♪North Bird/同じく山下洋輔作♪Memory is a Funny Thing/エレナ作♪One Line Journal (ひと言日記)…エレナさんフルート演奏/F.ハバードの代表曲ロックの匂いがする曲♪Suite Sioux (スー族のための組曲)/エレナ作タイトル通り元気が出そうな曲♪Little Girl Power/アンコール曲はD.エリントンのバラードをしっとりと♪In a Sentimental Mood でした。
◉いらしていた常連の倉田さんにステージの様子や雰囲気がよく分かるレポートが送られてきました。
以下【倉田レポート】=======
アルト奏者/作曲家の寺久保エレナさんのリーダーライブ、共演はデビット・ブライアントさん(pf) 渡邊修二さん(b) 鈴木宏紀さん(ds)で、寺久保さんのリーダーライブは’23年9月28日以来になります。
▶寺久保さんはバークリー音大を卒業後NYを拠点に活動されています。高校在学中に、NYでケニー・バロン クリスチャン・マクブライドといった巨匠たちと1st.アルバムをレコーディングしメジャーデビュー。ロン・カーター ルイズ・ヘイズ ジミー・コブ ジョン・ファディスらと共演されるなど、華やかな経歴で著名です。2025年9月にはミシガン州立大学ジャズサックス科助教授に就任されました。ジャパンツアー初日となった BODY&SOUL でのライブの予約は早々に締め切られ会場は満席となりました。寺久保さんのオリジナル曲、スタンダード曲、恩人である山下洋輔さんの曲などが演奏されました。
▶1st.set…
定刻になりバンドメンバーがステージへ登場。寺久保さんがご挨拶をされ曲名を告げます。寺久保さんの合図で一斉に♪Bird Lives の演奏が始まります。アルトサックスソロでは寺久保さんは目を閉じ、強い息で吹きパワフルに華やかな音色で吹き進みます。複雑な音をたて続けに吹き、少し後ろに反り力感を増していくと、鈴木さんが呼応して大きなドラムサウンドで演出します。
▶高速道路を疾走していくようなスリリングなデビッドさんのピアノソロ、奥行きを感じる強い音で速弾きを見せ、歌うように弾いていく渡邊さんのベースソロ、アルトの合いの手で豪快さを増していく鈴木さんのドラムソロから軽快なアンサンブルになりました。
▶各セットで一曲ずつ、寺久保さんはフルートで演奏されました。コロナ禍になって本格的にフルートの練習を始め、ルー・タバキンさんのレッスンを受けたそうです。1st.セットでは各国のフォークソングを持ち寄ってジャズアレンジしてアルバムを制作しよう、というプロジェクトのために♪リンゴ追分のメロディーと、「ミッション:インポッシブル」 のテーマで著名なラロ・シフリンが書いた♪アフリカーナのリズムを合わせた曲を演奏されました。
▶2nd.set…
オリジナル曲の♪One Line Journal を選曲されました。繊細で穏やかですが、色彩豊かで生命力を感じさせるようなフルートの音色でした。
▶♪The Song Is You では、アルトの音色の強弱を変え表現力豊かに語り掛けるような寺久保さんの演奏に、観客が惹き込まれます。ご自身のソロパート以外では、ステージに向かって右に移動しバンドメンバーのソロ演奏を引き立て、観客に拍手を促すスマートなステージングです。
▶寺久保さんは、2010年18歳の時にデビューされ、ケニー・バロン クリスチャン・マクブライド リー・ピアソン ピーター・バーンスタインとNYでレコーディングをされました。山下洋輔さんが寺久保さんが世に出るきっかけを作って下さり、こうした素晴らしいメンバーとのレコーディングの機会に繋がったそうです。寺久保さんの1st.アルバムのタイトル曲♪North Bird は山下さんが寺久保さんのために作った曲で、North は北海道、Bird はチャーリー・パーカーのニックネームを表し、「北のチャーリー・パーカー」 という意味を込めたとのことでした。綺麗なメロディーに続いて、吹きまくってほしい、という山下さんのリクエストに応えた演奏になりました。
▶もう一曲、山下洋輔さんが作曲された♪Memory Is A Funny Thing を演奏されましたが、最後にワルツのようなリズムが三小節入っていて、一緒にワルツのダンスを踊っているイメージを表現されたものだそうです。デビッドさんがしっとりと弾くピアノ、渡邊さんが温かい音でポツリと弾くベース、鈴木さんがブラシを回す密やかな音が寄り添い、寺久保さんがゆったりとアルトを吹いていき、心地良い音楽を創ります。
▶寺久保さんのアルトサックスは、豊かな声量で伸びやかに歌っていくような心地良い音色です。高速に刺激的な音を放つ演奏で観客を魅了し、スローバラードでの繊細で柔らかい語り口、歌声に聴き惚れてしまいます。技巧的な速度も華やかなパワーも、演奏曲を歌い語り掛け、伝えるためにあるように感じます。スマートなステージング、明るく熱っぽいMCも魅力です。こうした寺久保さんのパフォーマンスを受け止める観客席の熱量はとても高いく、無心に演奏を聴き楽しむ雰囲気が印象的でした。

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