デイリーレポート
お互いが向き合ってアイコンタクトしながら音で会話する極上のライブジャズ
9/19(土)は《若井優也 Special Quartet》若井優也(pf) 高橋陸(b) 石若駿(ds) feat.Chris Kazuki Jones(g) さん
▶朝から雨がパラつきすっかり秋雨のシルバーウィークになった昨夜は、若井優也さんのクァルテット。当店には昔から東工大出の大口純一郎さん東大出の嶋津健一さんなど、何人か理系頭脳のピアニストがいます。若井さんは彼らの下の世代ですが、皆さんやはり感性が尖っている感じで、ロマンチストなところが共通して独特です。
▶昨夜のクァルテットは、高橋さんと天才と言われる石若さんのいつものリズム隊に、豪州で鍛え日本でこの春から活動しはじめたギタリスト、当店初登場のクリスさんが参加する編成です。皆さん、ピアノを中心に囲むようにセッティグされ、アイコンタクトしながら音の会話を繰り広げられました。
▶演奏曲は、若井さんのオリジナル曲、主に当店のBSJSレーベルからリリースされたアルバム 「Will」 を軸にステージングされ、クリスさんのギターが入って、若井さんのメロディアスな世界がハーモニーを得て、さらに広がりが出た感じのステージでした。石若さんの演出力も素晴らしく、聴き応えのある素晴らしいライブでした。
▶1st.set…
ビリー・ホリデイの歌で知られる古いスタンダード曲バラード♪For Heaven’s Sake (頼むからお願い)/若井優也さんの作品ワルツシリーズより♪Waltz #13/同じくシリーズで24年のBSJSレーベルアルバム 「Will II」 収録曲♪Waltz #14/若井優也さんの作品ポエムシリーズ♪Poem #3⋯#1/ #2』は23年のアルバム「Poem」 に収録/若井優也作大学在学中に書いた曲でアルバム「Poem」 収録曲♪In Love in the Rain (雨の中の恋)/若井優也作アルバム 「Poem」 では「Interlude (Poem #1への前奏曲)」として収録されています。
▶2nd.set…
アルバム 「Will II」 収録曲ビル・エバンス♪Turn Out the Stars (星の灯を消して)/アルバム 「Will II」 収録曲 石若駿作♪Old Friends II/若井優也作♪Will I (アルバム 「Will II」 収録)/「社歌」♪Body And Soul/若井優也作♪Enoshima Blue (江ノ島の青)/映画 「Love Letters」 よりヴィクター・ヤングのバラード♪Love Letters でした。
=======【倉田レポート】=======
▶Kyokoママが開演を告げ若井さん高橋さん石若さんがステージへ登場。若井さんがご挨拶とメンバー紹介をされます。若井さんが柔らかい一音からピアノを弾き始め、高橋さんの穏やかなベース、石若さんがブラシでシンバル、ドラムを叩く音が続きます。若井さんは上を向き、癒されるような旋律を弾いていきピアノソロへ移行します。
▶若井さんは上品な音色で弾いて少しずつ速度を上げ、綺麗な音を転がすように弾き進みます。勢いを増してシャープに鍵盤を叩いて力強い音で弾いていきますが、その落ち着いた音色は変わりません。柔らかい演奏になると、高橋さんと石若さんも呼応してしっとりと♪For Heaven’s Sake の演奏を結びます。
▶1st.セットは、以後若井さんのオリジナル曲の演奏になります。♪Waltz #13 では三者三様、不思議な音を散りばめてトリオの一体感と即興的なやり取りが楽しい演奏になりました。ここでゲストのクリスさんが登場。イギリス生まれのギタリスト・クリスさんはまだ22歳だそうですが、今年6月に石若さんやマーティ・ホロベックさんなどと一緒にコットンクラブに出演をされています。
▶カルテットで♪Waltz #14 と今日完成したという♪Poem #3 を繋げて演奏されました。クリスさんが甘く浮遊感のある音でギターソロを弾き始め、徐々に膝を屈伸しながら大きな上下動になりパワフルに刺激的な音を放ちます。高橋さんのベースソロになり、強弱と残響を変えながら速度を増して独特の抑揚で力強く歌っていきます。石若さんのシンバルの音が先を導くように次の曲に移行し、若井さんのピアノソロで速度と強度を上げていきカルテットで疾走していきました。
▶♪In Love In The Rain では石若さんがドラムスだけのソロ演奏を披露されました。ドラムと次々と叩きシンバルを一閃。徐々にシンバルの比率を増やし独特の緩急と抑揚でパワーを増していき、ダイナミックなドラムサウンドを響かせます。♪Poem #1 では若井さんが繊細な音色で美しいメロディーを弾いて、どこか懐かしい情感を描きます。少しずつ強い音が表れ、潤いのある瑞々しい音で情感を増していき、素晴らしいピアノソロを披露されました。
▶2nd.セットでは♪Turn Out The Stars でメンバーそれぞれが入魂のソロ演奏で観客を魅了し♪Old Friends Ⅱで、石若さんが多彩にブラシ スティックを操り繊細な音を散りばめ、クリスさんが静かな表情で静から動へ徐々に移行していく演奏を見せ、若井さんが一音をくっきりと弾き最後には大きく叫ぶようにしながらパワフルなピアノソロを披露します。
▶♪Will:Part 1 では、クリスさんのギターが華やかに疾走していき、トリオが躍動しながら並走し、もの凄い集中力を感じさせます。
▶若井さんは、20歳くらいから南青山時代の BODY&SOUL にお世話になった。Kyokoママは演奏には厳しいと言われていたが、初出演で怒られることは無くがんばりなさい、と励ましてもらったと思い出を語ります。やがて、自分のバンドをやりなさいと言われ、石若さん楠井五月さんとバンドを組んで、新しい楽曲も生み出すことができた。「Kyokoママには感謝しかありません。ありがとうございます」 と、演奏を聴いていらっしゃったKyokoママに感謝の気持ちを伝えBODY&SOUL の社歌♪Body And Soulを演奏されました。
▶若井さんのピアノで始まり、石若さんの繊細さを極めるブラシワーク、高橋さんの穏やかなベース、クリスさんの柔らかい響きのギターが寄り添います。若井さんは鍵盤に顔を伏せゆったりと情感を込めて弾いていき、潤いに満ちた音色でしっとりと演奏を結び、最後の♪Body And SoulをKyokoママに捧げました。
▶若井さんが家族旅行で江ノ島に行ったときの空と海の青をモチーフにしたという♪Enoshima Blue、アンコールで♪Love Letters を演奏して、終演となりました。
▶終演後も、バンドメンバーの皆さんは観客と懇談され遅い時間までお店にいらっしゃいました。若井さんと石若さんはさらに遅くまで、Kyokoママやスズキヨウスケさんと、BODY&SOUL での大切な時間を過ごし、お開きになったのは1時半を過ぎていました。
▶石若さんは、新しいバンドが生まれ育っていくジャズクラブとして、BODY&SOUL は掛け替えの無いお店とお話になっていました。それは先日の 「Banksiaトリオ」 のライブで須川崇志さんがおっしゃっていたこととも重なります。ビジネス抜きで若いミュージシャンに新しい挑戦ができる場を提供し続け、日本のジャズを育てて来られたKyokoママの強い意思と愛情こそが、BODY&SOULの 閉店が惜しまれる理由の一つなのだと痛感した夜でした。BODY&SOUL 閉店まであと一週間となりました。

















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