デイリーレポート
この先がとても楽しみな新人女性ピアニストを再発見した夜!!
2/14(土)は《杉林茜トリオ》メンバー 杉林茜(pf) Sou Chihan(ソウ・チハン)(b) 山口友郎…
▶週末土曜の夜は《杉林茜トリオ》茜さんの人選メンバーで 杉林茜(pf) 台湾出身のソウ・チハン(b) 山口友郎(ds) さんです。同じピアノを毎夜色んなピアニストが弾きます。もちろんそれぞれタッチが違いますが、師事された先生の影響が色濃く出ます。茜さんのピアノはとても良い響きで、演奏曲もビ・バップ~ハードバップのスタンダード曲をきちんとしっかり演奏したので、若い女性では珍しいと思い終演後に伺うと、先生は片倉真由子さんということで、私も納得しました。
▶最近の若い人は、すぐ作曲してオリジナル曲を演奏される方も多い中で、貴重な存在だと思います。ステージング全体に、バド→マッコイ→シダー→チックなどピアニストの曲系の選曲も納得です。次回は新たなメンバーを組んででられると思いますが、大きく羽ばたいてほしいとても楽しみなピアニストです。応援よろしくお願い致します。
▶今回のセットは、ビバップ~ハードバップ~モダンジャズの王道スタンダード中心の構成で、ピアニストの系譜 (バド〜マッコイ〜シダー〜チック) を感じさせる王道色の濃い選曲ステージングです。
▶1st.set…
ジェイムス・ウィリアムス・マジカル・トリオを聞いてその雰囲気でトリオで演奏したかった曲だそうです。/ブレイキーバンドのボビー・ティモンズ♪Soulful…正確な曲名は お馴染みの「Moanin’」です/コルトレーンの名盤「バラード」に入ってる曲で出会ってからずっと大好きな曲だというジミー・マクヒューの♪Say it/モンクは勉強材料でライブの時には必ず演奏するというTモンク♪Thelonious/エヴァンスの演奏で有名なスティーヴ・スワロウの♪Falling grace…私にとって、初めてのタイプの曲で本当に難しいけど茜さんの新しい世界だそうです/♪Fantasy in D…シダー・ウォルトンとの出会いの曲でシダーの人柄が出ている本当にキラキラしてて大好きな曲だそうです。
▶2nd.set…
チック・コリアがビ・バップの巨匠バド・パウエルに捧げたオマージュ曲♪Bud powell/ジミー・ヴァン・ヒューゼンのバラード♪I Thought About You/ミュージカル 「Guys and Dolls」 よりフランク・レッサー♪I’ve Never Been Love Before…正しくジャズを弾けるようになるというテーマの4ビートの難しさを体現している曲/ベニー・ゴルソン♪Stable Mates…ドラムソロ入り/マッコイ・タイナー♪Inception…真由子さんとの出会いでありBodyとの出会いの曲でいつかBodyで弾くという目標をたてていた自分の中での一生の課題曲/アンコール曲はバレンタインデーにちなんでミュージカル 「Babes in Arms」 よりリチャード・ロジャースのバラード♪My Funny Valentine した。
===【倉田レポート】===
▶ピアニスト/作曲家の杉林茜さんのリーダーライブで、昨年年9月と11月に続いて三度目の登場です。共演は、ソウ・チハンさんと山口友郎さんのリズム隊、杉林さんは昨年3月に洗足学園をご卒業、山口さんは大学の先輩、ソウさんは後輩にあたるそうです。
▶杉林さんはスタンダード曲の数々が大好きで、前二回のライブではオリジナル一曲の他はほとんど全てスタンダード曲を演奏され、今回のセットリストは全曲スタンダードでした。特筆すべきは、三回のライブで演奏された曲に重複が無く、毎回異なる曲に挑戦されていることです。
▶杉林さんソウさん山口さんがステージに登場し、杉林さんの力強いピアノの音色に、ソウさんの穏やかなベースの音が続き、少しデュオで演奏した後山口さんの爽快なドラムスのサウンドが続きます。
杉林さんが軽快にピアノソロを弾き始め、目を閉じ少し上を向いて、小さく首を振りながら弾き進みます。速度が上がり強いタッチになっていくと、山口さんのドラムスが呼応し、いつの間にか華やかな演奏になっています。杉林さんは心地良いフレーズを豪快に弾いていきます。
▶ソウさんのベースソロになり、三本の指で柔らかい音で弾き速弾きを織り込み、弦を強く弾いて放し残響を長くしたりと変化を付けながら、優しい音色を響かせます。アンサンブルになり山口さんがドラムスを大きく叩き、リム/シンバルを連打していきます。
▶一曲目♪Soulful Mr. Timmons の 演奏が終わると杉林さんがご挨拶とメンバー紹介。アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのアルバムに収録されていて、杉林さんはブルース/ソウルなどファンキーなピアノが好きでこの曲を一曲目に選んだと話します。
▶続く♪Say It はしっとりとしたバラードで会場を良い雰囲気にし、♪Thelonious はリズミカルで、疾走感のある演奏になり観客を楽しませてくれました。杉林さんは♪Say Itが収録されているジョン・コルトレーンのアルバム『Ballads』をぜひ聴いてみて下さいと話します。♪Theloniousは、杉林さんが大好きなセロニアス・モンクが自身の名前を付けた曲で、解釈も演奏も難しいとのことでした。一言ひとことにスタンダード曲への愛が滲みます。
▶♪Falling Grace はソウさんが持ってきた曲だそうで、杉林さんが弾く綺麗なメロディーから始まり、ソウさんが温かく優しい音色で観客に語り掛けるようなベースソロを披露されました。♪Fantasy in D では、勢いよく演奏が始まり、杉林さんが楽しそうな表情で力強く、軽快なタッチで弾いていき、ソウさんが速弾きのベースソロ、山口さんが多彩でダイナミックなドラムソロを聴かせ、1st.セットを結びました。
▶2nd.セットが始まる頃には客席が程よく埋まり、さらに熱気に満ちています。杉林さんは、一曲目の♪Bud Powell は作曲者のチック・コリアのイメージや音使いを感じながら演奏したと話します。♪I Thought About Youは、キース・ジャレットのトリオとマイルス・ディヴィスのアルバムで良く聴いていて、自分なりに演奏してみたかったとのことでした。本当にそれぞれのスタンダード曲への熱い想いが伝わって来ます。
▶杉林さんは、一音でその人とわかるピアニストになること、スタンダードを演奏できるようになることが目標で、BODY&SOUL でのライブでは緊張しますが、スタンダード曲を中心に演奏していますと、笑顔で話します。
▶♪Stablemates を、不思議な曲だがくせになる素敵な曲、と紹介して、山口さんの変化に富むドラムスから演奏が始まりました。杉林さんが滑らかに川が流れるように音を転がして心地良いテーマを弾き、ソウさんが、速く細かい音を連ね、残響をグーンと伸ばして遊びます。
▶最後の曲♪Inception は、杉林さんが、師匠である片倉真由子さんのここでの演奏を聴き、ジャズピアニストに本気でなろうと思ったきっかけの曲で、いつかここで演奏したいと決めた曲でもあるそうです。大切な曲ですが最も難しく挑戦してみたいと演奏されました。
▶勢いよく始まり、初めから疾走感に溢れます。杉林さんのピアノソロは、高速道路を運転していくようなスリリングな演奏で、それはまさしく片倉さんを感じさせ、そのパワフルなくっきりとした音色に、杉林さんのお人柄のような優しい響きが表れているようでした。思わず惹きこまれるような迫力のある演奏に、ソウさんのベース山口さんのドラムスが呼応して大きく並走します。山口さんのドラムソロは、2nd.セットを締めくくるに相応しく、この日の最大出力で多彩かつ豪快な演奏になりました。
▶アンコールでは、バレンタインにちなんで、♪My Funny Valentine 明るく演奏してこの日のライブを締めくくりました。
▶客席で演奏を聴いていらっしゃった京子ママが「茜さんのピアノはとても良い音。スタンダード曲に真剣に取り組んでいるのも良い」とおっしゃっていました。
▶杉林さんの数々のスタンダード曲への想いが溢れ、それぞれの曲に山口さん、ソウさんとともに真摯な演奏で挑戦していくライブステージでした。MCも楽しく、回を重ねるごとにお一人おひとりが表情豊かに、より自由な演奏を披露されていくように感じます。メンバーの皆さんにお話を伺うと、このバンドではもっとできる、というお気持ちが伝わってきて、次回も益々楽しみになりました。














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