デイリーレポート
世界デビューの頃の新進気鋭「小曽根青年」の曲を若者と共有したステージ
▶【45周年記念 小曽根真 3Days】その第2日は、国立音大OG 石川紅奈(b)、OB 北井誉人(ds)さんに、同校の先生である 小曽根真(pf)さんと池田篤(as)さんというメンバーでのクァルテット。北井さんは学生の時から当店で何度か演奏されていましたが、ベースの石川紅奈さんは学生の時ちょっとシットイン的に演奏されたことがあったようですが、プロになってからの当店出演は初めてでした。(昨夜に続き思いつくまま断片的に綴ります、長くなるのはご容赦ください)
▶リハーサルは2時過ぎに始まりましたが…石川さんが運んできたベースの竿(ネック)のところが折れてしまい、急遽タクシーでレンタルベースを借りに行き、なんとか間に合いました。だからほんのちょっと小曽根さんの意見を聞くリハーサルで演奏が始まりました。お父様も遠方からお嬢さんの晴れ姿を観にいらしていました。そんなこともあり、特に1st セットはとても緊張されていました。
▶昨夜に引き続き、いつもながら面白くて笑いのツボを心得た小曽根さんのMCに店内大爆笑しながらのステージ。演奏曲は、最近ではほとんど演奏されていない初期の頃からの小曽根さんの足跡をたどる曲を、これからのジャズ界を背負っていく若者たちと共有する、そんなコンセプトのステージングでした。池田篤さんはいつも大人しい照れ屋さんですが、小曽根さんと掛け合いなどいつにも増して頑張って美しいアルトの音色が活き活きしてる感じです。
▶休憩中に小曽根さんがバックを務める若者にいろいろアドバイスされて、2nd セットになったら緊張がとれ、俄然、自由に演奏し始めたようで、ドラムスもベースも凄く良く鳴りました。特にベースの紅奈さんは直前にベースが壊れるハプニングでしたが弾くたびに普段の調子が出てきました。内気で大人しそうな顔とや弾き姿なのに、深い芯のところでとてもよくスウィング !! 。小曽根さんも、彼女が高校生だったころ聴いて、その天性のスウィング感に惹かれたとおっしゃっていましたが、最小の音数でスウィングする私の好きなタイプのベース。多分これからウチでも出演が多くなっていくと思います。
▶2nd セットでは、テナーの岡崎正典(tp)さんが楽器を持って聴きにいらしていて(多分密かに小曽根さんが呼んでいたものかもしれません)ステージに呼び出しシットイン参加。2ホーンでスタンダード曲「枯れ葉」を演奏。ところが正典さんのイントロが素敵に長くて「おい、どこがオータムリーブス?」と小曽根さんのツッコミに大爆笑しながら、篤さんとの素晴らしいツーホーン演奏。
▶NY からたまたま聴きにいらしていたベースの中村恭士さん(セイコー・サマージャズ・キャンプの講師として来日されていたようです)を見つけて、さっそく呼びだされてシットイン。その恭士さんの横にいた、やはり聴きにいらしていたウィリアムス浩子(vo)さんも一緒に呼び出し選曲を相談。彼女も、小曽根さんと中村さんのめったに無いバッキングに、緊張でかなり上がっておられましたが、彼女の十八番「Nightingale Sang In Berkeley Square」の選曲で本領発揮、熱唱されました。以下の演奏曲は、篤さんが書いてくださいました(演奏の迫力では想像できない、律儀で丸っこい篤さんらしい可愛らしい字ですよ)
▶1st stage…小曽根作♪The Beginning…「The Trio」(ジェームス・ジナス(b)、クラレンス・ペン(ds)さんとのトリオ)のアルバムの1曲目。池田作♪A.T.F.T…ノーネーム・ホーセス2枚目のアルバムから、ホレス・シルバーのバラード♪Peace。小曽根作♪Esperanza…「The Trio」の一枚目より。池田作♪Little Bird Blues…ノーネーム・ホーセスの次回作のために新アレンジ、小曽根作♪Gotta Be Happy!…「さ、皆で踊ってください、でも7拍子です難しいですよ」、アンコールでエリントンの♪In A Mellow Tone。
▶2nd stage…小曽根作♪Esperanza、小曽根作トリオ演奏で♪Only We Know…凄く良くスウィングしていました。小曽根作♪The Beginning、小曽根作♪T for Three…お馴染みTea foe Towをもじって池田さんが作られたののアレンジでTはトロンボーンのことだとか。池田作♪ Little Bird Blues。ここでいらしていた岡崎正典(tp)さんを呼び出して相談の結果♪Autumn Leaves…♪Go To Be Happy。ここで今度は、NYからたまたまいらしていた中村恭士さんを呼び出して、さらにウィリアムス浩子(vo)さんも呼び出して浩子さんの十八番♪Nightingale Sang In Berkeley Square。アンコールでは、Body And Soul…小曽根さんと篤さんのバトルがすごかった。
▶いつも感心しますが、小曽根さんは若者を育てるのも超一流です(国立音大でも多くの優れたミュージシャンが講師や非常勤で教えておられますが、小曽根さんは数少ない教授職)その人のキャラクターを深く把握し良いところを見つけ、時には厳しく時には優しく、その人に合った指導をされています。小曽根さんに教わる皆さんは本当に恵まれていて幸せだなと思います。ジャズが好きで勉強している若者達にチャンスをあげるのもジャズクラブオーナーとして私の責務だと、小曽根さんに教わる思いです。
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