【今年も暮れはサードプレイスで】
今年一年頑張ったご褒美に
仕事と娯楽ライフの締めに
いいライブジャズと美味い酒
慌ただしい師走の居場所はここ!!
来春1月スケジュール更新他ご案内
(2024年12月1日付 Dec.1st.)

デイリーレポート

28日(火)演奏曲とスナップ写真(本日レポート復活です❢)

28日(火)演奏曲とスナップ写真(本日レポート復活です❢)

Kyoko

2019年05月29日 水曜日

0 コメント

▶先週の金曜日のこの欄(ブログレポート)で書きましたが、昨夕、私の身内の土曜日からの葬儀が全てとどこおりなく終わり、お店に顔を出しました。お店は、海老沢一博(ds) さん率いるトリオ 林正樹(pf) コモブチ・キイチロー(bs) さんに昨夜は 伊波よし(parc) さんが参加された《江戸っ子トリオ+1》海老沢さんの出演時には必ず来てくださる当店の常連さん、中西さんがいらしていて、私はまたレポートをお願いしてしまいました。そしてまた、素晴らしい内容のレポートと演奏曲名を facebook を通じてお送りくださいました。以下に転載させていただきます。いつもながら短時間にこのような素晴らしいレポートをまとめられること、ただ感心するばかりです。本当にありがとうございました。
———–
▶1st stage…01 ひねもす(林正樹)02 Je te veux (E.Satie)03 Upa Neguinho (E.Lobo)04 Ate Quen Sabe (J.Donate)05 Un Poco Loco (F.Germaine)06 M-5(K.Ebisawa)
▶2nd stage…07 Summer Time(G.Gershwin)08 Un Poco Loco (B.Powell)09 Poinciana (N.Simon)10 Casa Forte ( E.Lobo)11 Anjo De Mim(I.Lins)12 ドンタク(岩崎大輔)アンコールは13 Imagine (J.Lennon)
▶レジェンドリーなドラマー海老沢一博が、ピアノの林正樹、ベースのコモブチ・キイチローと新しいトリオを結成し、BODY&SOULではじめてのライブを行ったのは2018年3月のこと。同年6月の第2回ライブで「コモエビマサキ・トリオ」を名乗り、11月にはメンバーの出身地が東京だからということで「江戸っ子トリオ」と改名する。そして2019年3月には、パーカッションの伊波よしをゲストに迎えて「江戸っ子トリオ+1」となり、そのときと同じメンバーで通算5回目のライブを行うこととなった。
▶確かにメンバーは同じである。しかし今回準備されたセットリストは、オープニングに演奏された林のオリジナル「ひねもす」最終曲「どんたく」以外に重複はない。このことからもこのバンドが、過去を回顧するレトロスペクティブなものではなく、メンバーが互いに新曲やアレンジを持ち寄り、新しいジャズミュージックを求めて飛翔しようという確かな意志を持ったアグレッシブなものだと理解できる。そしてそれを率いるのが75歳になる大ベテラン海老沢一博なのだ。もうそれだけで胸が高鳴るではないか!
▶彼らの演奏のスケールは、期待を大きく上回った。ポップスからクラシックまで、あらゆるジャンルの音楽の滋味を取り入れた林のメロディアスなピアノは、いわゆるtouchedな響きで聴衆を魅了した。ファーストセット2曲目の「Je te veux」はエリック・サティの名曲だが、林は以前これをジャズアレンジでやりたかったのだという。海老沢に突然求められてする少々控えめな林のMCは、しかし曲名を「おまえがほしい」だと繰り返し告げて、聴衆をすっかり打ち解けさせた。なにしろ江戸っ子ですから…。
▶3曲目から伊波よしが加わり、選曲もブラジル音楽に強いコモブチ・キイチローにかわって、ラテンのグルーブをひた走るメンバー。コモブチは、ウッドベースをエレクトリックに持ち替えてラテンのリズムとメロディラインが印象的な「Upa Neguinho」、さらにバラードの「Ate Quen Sabe」と続ける。コモブチ・キイチローは、ベースに加えて唇からも歌が溢れて、ブラジル音楽の世界を開示してゆく。お互いの音を聴きあい、アイコンタクトをとりながらグルーブがうねるように花開いたのは、「Un Poco Loco」で、アップテンポなこの曲を、見つめ合うパーカッションとドラムとが、才気溢れるピアノと歌うベースによって支え、曲を構築してゆく様には、心からの感動と賞賛とを覚えた。ファーストセットは、海老沢のオリジナルバラード「M-5」で、美しく閉じた。
▶セカンドセットの第1曲はガーシュインの名曲「Summer Time」を実験的に。ドラムとベースがオリジナルのテンポで出て、ドラムとピアノの掛け合いになるとタイムを極端に変える。海老沢の指示で、その難題をあっというまに演奏に昇華してゆくメンバーの高いテクニックには圧倒されるばかりだった。その後、バド・パウェルの<ちょっと変な>「Un Poco Loco」、コモブチがエレクトリックベースに持ち替えてスタンダード「Poinciana」と「Casa Forte」を、再びウッドに持ち替えてほとんどインストゥルメンタルでは演奏されることのないリンスの「Anjo De Mim(私の天使)」をボサノバで演奏された。どの曲も、実験的な要素を含みながら、メンバー全員が親密なアイコンタクトから生まれるグルーブに身を委ねていったのである。最終曲は、海老沢とバークリーの同期で、現在福岡を中心に活躍する岩崎大輔の「どんたく」を渾身の演奏で。あらゆる音楽の要素を直感で編み込んでゆくメンバーたちの才能にひれ伏すような経験であった。聴衆が熱狂したのも当然である。
ゲストの伊波よしの演奏は、ツインパーカッションの音の多さを感じさせない繊細なもので、とりわけ海老沢との掛け合いはすばらしかった。終演後「もうこうなったら『江戸っ子カルテット』でいいんじゃないですか?」と声をかけると、ハンサムな笑顔で「僕なんかとんでもない」と否定した。好漢であるとしか表現できない。
▶ともかく、海老沢一博の明るさ、音楽に対するポジティブな姿勢が、このバンドメンバーに浸透し、メロディアスにしてアグレッシブなグルーブを作り出していることは紛れもなかった。ちょっと偽悪ぶって強い口調で指示を出すが、その根底に若いミュージシャンたちへのレスペクトが溢れ出る海老沢の姿に、私は深い感動を覚えた。そして同時に海老沢は、聴衆とともに、音楽を楽しむことを模索し続けるポジティブな哲学者でもある。「火の玉シェビー」はまだまだ進化を続けるに違いない。私はもっともっと多くの人々に、このバンドの演奏を聴いてもらいたいと心から願っている。
この夜のアンコールは、ジョン・レノンの「Imagine」だった。
▶最愛の妹さんを失われた京子ママも、気丈に復帰されたこの夜である。ママは「これまで私は、何度も何度も音楽に救われてきたのよ。そして今夜も…」。京子ママの言葉はとても重く、そしてこれこそ真実の声だと私には思われた。人生の明るさと暗さ。よろこびと悲しみと。それを全部飲み込んで、南青山BODY&SOULは今日もある。ミュージシャンならざる私たちは、せめてこのレジェンドリーなジャズクラブに通い、すばらしい音楽に感動し、日々を前向きに生きてゆきたいと思う。だからぜひ、今夜もBODY&SOULへ。

19052807190528061905280819052801119052803190528091905280131905280219052805190528015

Comments are closed.