デイリーレポート
心に響く二人の演奏「エリントンの世界」
▶片倉真由子(pf)さんと浜崎航(ts,ss)さんの久し振りの《Duke Ellington Songbook》今、2枚目のデュオ・アルバム「In A Sentimental Mood」がリリースされ大好評を博しています。実はこのアルバムは、真由子さんにとって特別に思い入れのあるアルバムなのです。今日はそのアルバムにまつわる「ちょっといい話」を書きたいと思います。
▶彼女のお父様はプロのジャズミュージシャンで、若くしてお亡くなりになったのですが、彼女はその時アメリカ留学中で死に目に遭うことが出来ませんでした。帰国すると遺品としてアルトサックスとソプラノサックスが残されていましたが、ピアニストの彼女は吹けません。でも手放すわけにも行かず楽器が可哀想と思っていた時、レコーディングの時に浜崎さんがそのソプラノサックを吹いてみたい、と申し出があり、真由子さんは喜んで吹いてもらったのだそうです。レコーディングには、自分の一番いい楽器を使うのが普通です。浜崎さんの優しい思いやりだと思います。
▶このアルバムには、当店のスタッフ阿部クンの撮った緊張感のあるモノクロのいい写真が使用されてもいます。私のこのブログレポートで毎夜、仕事の合間に写真を撮ってくれている阿部クンは、実は(事情があったりジャズも大好きだったし)当店で勤務する前は、難しい料理の写真を特に専門とするプロのカメラマンでした。暗い店内でフラッシュ無しでいいシャッタチャンスの写真を撮るのは、けっこう難しいと聞きます(阿部クンいつもありがとう)アルバムをお求めいただいたら、それらの写真もお楽しみください。
▶1st.stage…♪Star Crossed Lovers、♪The Feeling of Jazz、♪Low Key Lightlt、♪Mystery Song、♪Lotus Blossom、アルバムタイトル曲♪In A Sentimental Mood。
▶2nd.stage…♪Sophisticated Lady…お馴染みですがこれはエリントンが若い時に夢中になった女性の先生に書いた曲だそうで、浜崎さんにもそんな女の先生がいたそうですよ。♪I Let A Song Go Out Of My Heart、♪Take The Coltrane、♪Sunset And The Mocking Bird、代表中の代表曲♪Take the A-Train、エリントンと終生コンビを組んでいたB.ストレイホーン♪Blood Count…自分の死を感じて書いたもの悲しい曲、アンコールは♪Things Ain’t What They Used To Be (昔はよかったね)。
▶とても充実した気持の入った演奏が心に響きました。二人のライフワークである「美しい音の世界」として表現されたエリントンの世界に、客席の皆さまも魅了されていました。
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