デイリーレポート
広く深いレパートリーと実力を再認識した素晴らしいトリオサウンド(プーさんの追悼文つき)
1/31(土)は 北澤大樹(ds) 成田祐一(pf) 古木佳祐(b) さんの《北澤大樹リーダートリオ》
▶北澤さんは最近知名度を上げ日本からの留学生も多い北テキサス大のジャズ科を卒後、向こうで活動されていましたがコロナ禍で帰国。東京で活動し始めましたが、センスとキレの良いドラミングで当店でも存在感を増している人気ドラマーです。コンボサウンドの多くは、ドラマーの演出力で決まるというのは私の経験的持論ですが、昨夜改めて納得しました。
▶演奏曲も普段あまり聴くことのないコアなジャズファン好みのスタンダード曲から、お馴染み曲まで、深く広いレパートリーにも感心しました。中に故 菊池雅章(プーさん)の曲が演奏され、10年ほど前のまだ私の記憶力が良かった頃のことを思い出しました。HPを検索したら出てきましたのでここにリンクしておきます。
[2015年の私の追悼文]
https://bodyandsoul.co.jp/2015/07/8685
演奏された曲は、日本人作曲家によるモダンジャズの名作ともいわれる曲で、いま北澤さんが取り上げてくださり、私も嬉しいです。孤独な人生の孤高の人でしたが、きっとこの曲を天国で聴いて喜んでいるかも知れませんね。
▶客席には珍しく、中国人のグループの方が大勢いらして、終始集中して熱心に聴いておられました。伺うと、北澤さんのお知り合いが連れてきた下さったようです。グループで来られた中国の方は、当店では初めてだと思います。北澤さん色々ありがとう。
▶1st.set…
ミュージカル 「Babes in Arms」 よりリチャード・ロジャース♪My Funny Valentine/クールジャズのピアニスト レニー・トリスターノの♪Line Up…コード進行「All of Me」 と同じ/アフロ・キューバンとジャズの融合曲 D.ガレスピー♪Con Alma (ス語コン・アロマ=魂を込めて)/元は古いアメリカンPOPSラブソングで T.モンクの♪Just You, Just Me
▶2nd.set…
ミュージカル 「Wake Up and Dream」 よりC.ポーター♪What Is This Thing Called Love/故菊池雅章(プーさん)の代表曲でAbi=アビゲイルは娘さんの名前です♪Little Abi/トロンボニスト♪J.J.ジョンソン♪Lament (嘆き)/スタンダード曲レイ・ノーブル♪Cherokee/同名 名盤で有名なタイトルチューンH.ハンコック♪Maiden Voyage でした。
◉倉田レポートは追って後ほど転載させていただきます。
=====【倉田レポート】======
▶メンバーがステージに登場し、成田さんがピアノで繊細なメロディーを弾き始めます。小さく呟くようにして弾いていくと古木さんが弓でベースを弾き、北澤さんがブラシでシンバルに触れ、ドラムの上で軽く回します。成田さんが少しずつ大きく弾き進み、古木さんは弓を置、指で弾いて良い音を響かせます。
▶成田さんのピアノソロになり、強い気を込めて弾き進みます。北澤さんはスティックに持ち替え、シンバル、ドラムを繊細に叩きます。成田さんは速度を上げていき、いつの間にか華やかな音色で弾き、呼応してシンバルの響きも大きくなっていきます。成田さんは粋なタッチで歌うように弾いていき、激しい演奏になり、やがて小さくしっとりと弾いて、北澤さんはバチでドラムをごろごろと叩きます。
▶古木さんのベースソロに移行し、繊細な音色を響かせます。少し強いタッチになって、太い音で弾いていき、静かなピアノ、ブラシで触れるシンバルの音が寄り添います。古木さんは強いタッチで弦を弾く音を大きく響かせ、速度を増していきますが、端正に弾いています。三人が視線を合わせることは無く、お互いの音を聴きながら、黙々と演奏を進めています。
▶成田さんのピアノが前に出ると、スティックに持ち替えた北澤さんがシンバルのふちを横から叩きます。ピアノ、ベースの音色とともに、シンバル、ドラムのサウンドも大きくなっていきますが、北澤さんは再びブラシに持ち替え、静かにフェードアウトしていきました。聴いたことのない ♪My Funny Valentine に何と芸術性の高い演奏だろう、と感じます。
▶北澤さんがご挨拶をされ、皆が知っているスタンダードを演奏しますが、メロディーは無いかもしれません、と言って演奏を続けます。実際、の曲とはわからないようなアレンジ、即興演奏が続きました。これほどお互いの音を聴きながら、演奏していくトリオは無いと感じさせるほど、繊細さを極め張り詰めた緊張感で演奏を進めます。
▶成田さんは、静かな表情で熱い演奏を繰り広げます。ソロ演奏では軽やかに弾き始め、力感を増していき、強く目を閉じ、歯を食いしばり、少しお顔を歪めるほど強い気を込めて、歌うように、叫ぶように独特の抑揚で弾き進みます。2曲目では、高速道路を疾走していくようなダイナミックな演奏になりました。そしてソロの弾き終わりは、綺麗な音で上品に結びます。
▶古木さんは、曲ごとに多彩な演奏で観客を魅了します。まるでどこまで小さな音で歌えるか、というように弾いたり、まろやかな音色で速弾きを見せ、二本指を弦の上で走らせ、躍らせて、スリリングな演奏を披露します。♪Little Abi のアルコ(弓)では重厚な音を軽やかに弾き、メロディアスな演奏になりました。高度な技術と歌心を感じる演奏に、客が何度も大きな拍手をおくりました。
▶北澤さんは、シンバル ドラムを叩くというよりも、ブラシとスティックを使い分け様々なタッチで触れたり回したりして、繊細なサウンドを生み出します。成田さんのピアノ古木さんのベースを聴きながら、一音一音を大切に演出を進めます。特にシンバルの響きは、特筆すべき美しさで、バンド全体の演奏を綺麗に仕上げていきます。ドラムソロでは、シンバル ドラムなどの良い音を引き出し、滑らかに連ねていくような演奏でした。
▶圧巻は最後の♪Cherokeeで、これも聴いたことのないような演奏になりました。成田さんがピアノソロで、細かい音を連ねて軽快に疾走し速度を上げていきます。古木さんのベース、北澤さんのシンバル ドラムも大きく並走し、成田さんはよりパワフルに華やかな音色で疾走を続け、熱演を披露します。古木さんのベースの合いの手で北澤さんがドラムソロを叩き、お互いの音で触発し合いながら、交互のソロ演奏に移行し、音の会話を進めていきます。その様子を見つめていた観客は、成田さんがピアノを弾き始め、アンサンブルに移行すると割れんばかりの拍手をおくりました。
▶トリオがお互いの音を聴きながら、それぞれの音を生み出して行く、音の会話の楽しさ、醍醐味を味合わせてくれたライブステージとなりました。団体客がメンバーと記念撮影をしたり、言葉を交わしながら、大盛況のうちに終演となりました。
▶北澤さんはコールが多く大人気のドラマーですが、リーダーライブは BODY&SOUL でしか開催されていません。京子ママが、北澤さんの演奏をたいへん気に入られ、リーダーライブのオファーをされて以来、回数を重ねてこられました。このトリオのメンバーの演奏は素晴らしく、ぜひ再演を期待したいと思います。














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