デイリーレポート
2つの素晴らしい音楽に酔った充実の一日
東京芸術劇場(池袋)「Jazz Meets Classic with 東京都交響楽団」
▶小曽根真さんが追求しているジャズとクラシックを融合させたコンサートです。ちなみに彼は今年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞されています。東京都交響楽団は先のオリンピック記念文化事業として1965年に設立された楽団で、来年50周年を迎えるそうです。2,000席の会場は全てソールドアウトの大盛況、会場には多くのジャズファンの姿がありました。
▶私が聴いたのは、第1部 の ♪L.バーンスタインのキャンディド序曲、小曽根ピアノ&トランペッターアルトゥーロ・サンドヴァルとオーケストラによるショスタコーヴィッチの♪ピアノ協奏曲第1番ハ短調、♪ラベルのボレロ。第2部の「ジャズセッション」…小曽根さんとアルトゥーロさんのデュオです。
▶このコンサートは昨年小曽根さんがアルトゥーロさんの出ていたクラブに顔を出して話が弾んだのがきっかけで、その場で一緒にショスタコーヴィッチをやらない?とお誘いして、今回の共演になったんだそうです。アルトゥーロさんはキューバ出身の、グラミー賞を10回もとっている世界的なジャズトランぺッターで、とても素敵な老紳士でした。オケの指揮はシンガポール出身のジョシュア・タンさん。ジュリアード出身で今世界でも注目されている指揮者で、前に小曽根さんのコンサートの招待席で私のすぐ前の席で聴いていらした、若くてスリムなカッコいい品のある方です。
▶ピアノ協奏曲では、出だしが何とも言えず素晴らしく、ピアノとトランペットのピアニッシモでは小曽根さんのピアノがよく活きていて、特にトランペット一本との調和のとれたサウンドは、溜め息が出るほど素敵でした。終っても拍手が鳴り止みませんでした。ジャズセッションの小曽根さんとアルトゥーロさんのデュオでは、お二人がリラックスしてその場でアドリブ的に曲を弾き出したり吹き出したり、小曽根さんらしい演出が素晴らしかった。
▶ここでアルトゥーロさんが、「嫌な悲しいニュースが多いから、今日帰ったらテレビをつけないで、この歌詞をダウンロードして読んで寝てください。ぐっすり眠れて翌朝は爽快ですよ」と小曽根さんのバッキングで♪Smile を唄われました。愛情一杯で、涙がこぼれそうになるほど素敵で感動しました。拍手が鳴り止まず、もう一曲、と♪The Very Thought of You。そして今度はお客さまからリクエストを募って♪枯葉 をデュオで演奏されました。私はその場に居られる幸せを噛み締めながら聴きました。
★追記
この時、手元の時計を見ると9:20を回っていました。あら、大変 !! お店ではトミーさんの3年ぶりのステージで、早く帰るよう言われていたのです。私は後ろ髪を引かれる思いで、アンコールの途中で退席せざるを得ませんでした。あとで聞くと、この後♪Smoke Gets in Your Eyes のあと、最後の最後に♪Body And Soul をやって終わったのだそうです。きっと、私がはじまる前に楽屋に差し入れをしたので(ほんの心ばかりですが)小曽根さんの優しいご配慮だったのかもしれません(彼はそういう方なのです)。申し訳ないやら、悔やまれるやら…ほんとに残念です。
※なお、♪枯れ葉の後の曲は♪The Very Thought of You ではなくて♪When I Fall in Love でした。訂正します。
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トミー・キャンベルfrom N.Y第2日《オルガンアイズセッションバンド》
▶2nd ステージがはじまるところにお店に着き、久しぶりに 河合代介(org)ハル高内(g)トミー・キャンベル(ds)さんの迫力あるオルガン・ジャズを聴きました。実は昼間、河合さんは例によって「ハモンドB3」をお店に搬入したのですが、今お店が外装工事の足場で階段が狭くなっているので、冷蔵庫ほど重いB3を当ビルのエレベーターで降ろし、トイレの非常ドアから、通路の棚を一時外してステージまで運び入れての搬入作業でした。
▶キーボードの電子的オルガンサウンドと違って圧倒的な迫力の空気音です。それでなくてもジャズがファンキーになりますが、ご存じのようにトミーさんの伯父さんは、オルガンジャズの大御所ジミー・スミスさんです。トミーさんのアレンジ・プロデュースするオルガン・ジャズは、やっぱり違う !! 圧倒的なグルーブ、素晴らしい !! お客さまもグルーブしてノリました。トミーさんも終始ニコニコされてとても嬉しそうでした。
▶2nd.stage…まずオルガンとドラムで♪Good Life、ハル高内(g)さんが入って♪Poinciana、♪JIMY’s Shout Chorus〜ドラムソロ♪Fujimama、J.スミス♪Basin、ハルさんをフィーチャーして♪Europa、アンコールは♪A Real Goodun でした。私にとっては素晴らしい音楽に酔った充実した秋の一日でした。
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