デイリーレポート
ライブジャズの真髄を体現したような素晴らしい三日間
以下レポートが長くなりますが、予約できなくて来られなかった方のために、なんとか素晴らしいステージをお伝えしたくて…書きました。
▶小曽根スペシャル最終日は、滅多にコンボ演奏はなさらないエリック宮城(tp)さんと、岡崎正典(ts)さんのフロントに、3日間連続の小曽根真(pf)中村健吾(b)さん、そして今回大抜擢された横山和明(ds)さんのメンバー。超満員の中、1st,2nd 両セットとも店内は大拍手・大喝采に包まれ「これこそがライブジャズの真髄だ」というような凄い音楽空間に沸きました。
▶横山さん以外は小曽根さんの「ノーネームホーセス」メンバーで、皆さんア・ウンの呼吸ですから、小曽根さんは肝心な事だけ伝えて、後は「現場処理」で自由に演奏させた方がハプニングが生まれて音楽が楽しく面白くなる、とお考えのようでした。実際その通り、皆勤賞でいらした外国人の方も「こんな楽しいステージは世界にもあまりない」とおっしゃったほどでした。
▶横山さんは、今回初顔合わせ初共演でしたので、私は初めはドキドキして心配でした。彼は日頃ウチに出ているミュージシャン中でも一二を争うほど勉強熱心で、本当に真面目に精進されている好青年なので、私が応援しているドラマーのひとりなのです。小曽根さんの手にかかると見事に彼の才能を開花させ、大活躍。ソロも凄くよかった !! 拍手大喝采を受けました。さすが懐の深い小曽根さんです。私は目頭が熱くなるほど嬉しくなりました。
▶1st.stage…F.ハバード♪Crisisからジャジーに始まりました。小曽根作♪Wings of Swing…この曲はデキシー風のノリのいい曲で、NHK「世界遺産、時を刻む」いう番組で音楽を担当されたとき作曲されたのですが「まさかこんなデキシー風な楽しい曲はこの番組には使われないだろう、とオンエアをずっーと見続けていたら…やっぱり使われなかったよ」と小曽根さん。店内大爆笑。そして岡崎さんのテナーサックスをフィーチャーして♪Someday My Prince Will Come…素敵でした。
▶続いてエリックさんが独自に作ったという「ベビーシュー」と言う楽器を使って、あの♪So What…トランペットに、ミルト付きのもう一本のトランペットを装着した「マイルスの音」が出る独創的な楽器で、エリックさんがユーモラスに演奏する姿も大受けでした。♪Two for The Road、そして横山ドラムをフィーチャーして健吾作♪Roots、アンコールはH.シルバー♪Preacher…ご存じのとにかくノリの良い曲で、客席が手拍子で湧く中、シルク・ド・ソレイユでピエロを演じていて時々ウチにいらっしゃる方が、楯も居られないようにステージまで出てきて踊り始め、店内は興奮のルツボと化しました。
▶2nd.stage…♪Breakfast Wine…誰の曲か忘れましたが、朝からワインを飲んでいてできた曲でしょうね、小曽根作♪Wing of Swing…最初のステージと微妙に違っています。同じことはしない小曽根さんならでは。ピアノトリオで♪My Foolish Heart…小曽根さんの美しいピアノで店内が水を打ったように静かに聴き入った素晴らしいバラードの世界でした。最初のステージと同じ、エリックさんのベビーシューで♪So What…エリックさんお茶目ですね。コンボ活動をもっとなさればいいのに、と思わずにはいられません。
▶そして健吾作♪Roots…ここでも横山さんが驚くようなドラムソロを演じました。アンコールはノリにノッた♪Preacher…いらしていた第1夜の中川さんのトロンボーン、TOKUさんのトランペットも参加、演奏者もノってとうとう管楽器奏者がお客さまの間を縫って店内をトイレ前まで行進しながら演奏、ウチでも前代未聞のノリでした。
▶拍手が鳴り止まず、聴きに見えていた伊藤君子さんを呼出して♪Body & Soul…小曽根さんのピアノに乗って、説得力のある心にしみ入る諸玉のヴォーカルでした。「社歌」が出たからもう後はないだろう、と思っていたらまだ拍手が止まず、中川英二郎(tb)さん岡崎好朗(tp)さん、TOKU(tp)さん参加の♪St.Thomas。小曽根さんのチームの皆さんは、本当に心優しい方たちでサービス精神も凄い。最高の夜になりました。
▶(小曽根さんの生徒さんでフルート奏者片山さんが昨夜も一昨夜も飛び入り参加で吹いてくれたのですが、私はもう書きたいことがいっぱいで…書き忘れました。ごめんなさいね)ちなみに、お客さまの中西光雄さんが Facebook で連日、評論家も顔負けの丁寧で詳しいレポートをしてくださっています。そちらもご覧になってください。Facebook 当店のアカウントから見られると思います。
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▶大昔、ウチが六本木にあった頃、若き小曽根さんが日本を離れる最後の夜に、ここで弾いてから行く、と旅立たれました。つい昨日のことのように思い出されます。そして帰ってきたら「世界の小曽根」になっていました。それから30数年、今は、世界の小曽根として歴史的なジャズ・ジャイアンツに名を連ねようとしています。それどころか「クラシックとジャズを融合させた初めての音楽家」になられる、と私は確信しています。彼のステージを見れば、そんな形容詞が何の違和感もなく納得できる三日間の、本当に楽しく素晴らしいステージでした。
▶そんなビッグになられても小曽根さんは、この小さなお店を応援し支えてくださいます。超一流になられる方は、本当に違う、といつも私は頭が下がりっぱなしです。小曽根さん、神野三鈴さん(小曽根さんの奥様)共演者の方、お客さま、そしてスタッフ…皆さまになんと御礼をいっていいのやら…三日間ほんとうにお疲れさま、ありがとうございました。
▶小曽根さんはきっともうすぐ、グラミーを獲られると思います(ノミネートされるだけでも凄いのに、それはもう経験済み)。そして、彼とノーネームホーセスがカーネギー・ホールを連日、満席にする日が来るに違いありません。早くこのお店の貯まってしまった借金を返して、グラミー賞の会場でその晴れ姿を見ることが、私のジャズ人生最後の夢かしら…
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